今年の半ばに、Kopernik(コペルニク)というソーシャルベンチャーを立ち上げた。立ち上げたのは、開発援助を自分なりにより効率に出来るのではと考えたからだ。
国連を通じた政府開発援助分野でしばらく働いてきた中で、その強みと弱みが段々と分かってきたと思っている。
国連の強みは、やはり国際政府機関であるということ。192カ国の加盟国の意思を反映させることのできる唯一の組織。そして、このガバナンスの構造のおかげで、国連の中立性というものが保たれる。中立性があれば、非常にセンシティブな分野での仕事が出来る。例えば選挙支援。こういった分野で二国間援助機関が中心になって支援を行うということは殆どない。
一方、この国際政府機関ということは両刃の剣で、ODAは、途上国政府を中心に据えた援助となる。もちろん、国家の開発に対する役割というのはGivenであり、途上国政府が機能していなければ、開発というものは殆どあり得ない。しかし、途上国政府の強化に重点を置きすぎると、問題も出てくる。どうしても援助に対する依存文化が生まれるし、先進国でもなくならない汚職で多くの援助が無駄になる可能性が大きい。
また、国際機関は巨大な官僚組織であり、新しい技術や革新が生まれにくい土壌になっている。官僚制度を真っ向から批判しているわけではなく、必要な手続きプロセスなど、なければならないものも勿論多い。それぞれのプロセスには何かしらの理由がある。一方で、リスク回避の文化が生まれ、新しいことを試すということが起こりにくい。
こういったことは、このブログの前シリーズ「平和構築の現場で考えた」でも書いていた。例えばこれら:
http://peacebuildinglive.blogspot.com/2008/02/blog-post_17.html
http://peacebuildinglive.blogspot.com/2009/03/dead-aid.html
http://peacebuildinglive.blogspot.com/2008/11/blog-post_11.html
http://peacebuildinglive.blogspot.com/2008/07/blog-post_59.html
これらの問題に対し、どのように開発援助を効果的に出来るかをずっと考えて来た。
「続・平和構築の現場で考えた」は、今回の投稿を最後にし、今後の近況はコペルニクのブログで行う。
今後ともよろしくお願いします。